育てられて"いま"がある

1992年、当時はまだ珍しかった米の直販を開始してから17年が経ち、おかげさまで全国数千人の方々と、農産物をお送りする関係を築くことができました。

大冷害による米不足騒動が勃発した93年にも、何とかご注文通りの数量をお届けすることができ、その結果、たくさんのお客様からお礼状や贈り物をちょうだいしました。あのときの驚きとよろこびは、いまでも忘れることができません。以来、私たちはお客様方に育てられているのだと実感しています。

「永井農場だから、安心でおいしい」と、日本の食の基本である米をずっと買い続けてくださるお客様の思いを裏切らないよう、これからも米づくりに励みます。

地域への恩返し

永井農場にとって、地元で米づくりをされている農家の方々、農作業を委託してくださる皆様も大切なパートナーでありお客様です。

この8月、先代である父から代表を引き継ぎました。まだまだ力不足ではありますが、先代が現役のいま、バトンを継承できるのはとても幸せなことです。もちろん、代表が替わっても農場の根幹や取り組みは変わりません。

永井家の跡取り息子であり農場代表としての自分がいまあるのは、早くから地域の皆さんが農業者として認め、応援してくださったから。「誰かに必要とされている」という思いは大きなエネルギーになります。先輩農業者である「お客様」に少しでも恩返しができるよう、この土地だからこそできること、地域全体が元気になる農業をめざします。

テーマは"よろこばれる"

自立した農業のかたちをつくりたい。既存の農業が持つイメージを変えたい。働く全員が誇りを持てる農場にしたい。以前から持ち続けていた思いを実現するため、意欲的な新規参入者とともに農場の法人化に踏みきったのは96年でした。

10年以上が経過し、少しずつスタッフが充実していくなかで、明確なビジョンを全員で共有することが必要だと感じるようになりました。何のために仕事をするのか、何のために永井農場が存在するのか。考え続けた結果が「よろこばれる」という、シンプルながら深い言葉です。

農産物を食べてくださるお客様によろこんでいただくこと。地域の方々や、農場にかかわってくださる皆様によろこんでいただける関係づくりをすること。働くスタッフと、支えてくれる家族によろこびがあること......。

全員が同じビジョンを持ちつつ、自分なりの「よころばれる」とは何かを考えながら、日々の仕事に邁進したいと思います。

この地に根ざして

近頃、農業がブームだと言われています。しかし、私たちは一過性のものに惑わされず、これまで通り「この地域で農業をする百姓として何をするべきか」を考え、拡大ではなく深化をめざして着実に歩んでいきます。

安全でおいしい農産物をたくさんの皆様にお届けできるように。そして、農場で働く全員が農業者としての誇りを持てるように。これからも真摯に農業に取り組んでいきます。

永井農場 代表取締役 永井 進永井進写真
71年長野県小県郡東部町(現東御市)生まれ。地元中学校卒業後、北海道酪農学園大附属高校酪農経営科、北海道文理科短大酪農科で学び、卒業と同時に就農。96年農業生産法人有限会社永井農場を設立し専務取締役。農作業のかたわら、販売・宣伝・商品企画等を担当。09年8月、代表取締役就任。

2009年8月に取材(取材協力 荻野文恵)