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NAGAI's WAY

永井 忠
1996年農場を法人化し代表に。有限会社から株式会社に改組した2009年から会長。現場一筋の農業人

永井 進
北海道の高校・短大で酪農を学び、就農。2009年に社長就任。販売、企画宣伝、商品開発等を担当

小笠原 竜大
1998年入社。2008年に専務就任。生産現場のトップとしてスタッフを牽引。青森県出身の元ラガーマン

家族経営だった永井農場が農業生産法人有限会社永井農場となったのは1996年のことでした。法人化から20年という節目に、「HARVEST」オープンを無事に終えて、会長、社長、専務が集結。この20年を駆け足で振り返ります。 会長と社長は父子。専務は会長の娘(社長の妹)の夫、つまり義理の息子(社長の義弟)という関係性の、農場幹部であり家族でもある3人が語る、農業人としての思い、こつこつと積み上げた独自のスタイル、これからの20年...。 永井農場の根幹と3人の関係性が透けて見えてきます。

20年間の大事に小事、その成果

永井進(以下進) 自分にとってこの20年の大きなことは、親父からバトンタッチして代表になったことと、軽井沢に直営ショップを出せたことかな。それまでは加工品の製造にしても永井家の誰かが仕切っていたけど、軽井沢はスタッフに任せた初めての場所で、新しいチャレンジができるとわかった。かなり大変だったけどね。
小笠原(以下小) 俺は乳製品の加工販売を始めたことかな。18年前に入社したときから、自分たちで生産したものは自分たちで販売するっていう方針が魅力的だったけど、牛乳だけは共同出荷だけで、それが自分のなかでモヤモヤしてて、「なんで牛乳だけできないんだ?」って思ってた。乳製品の販売は難しいって言われたけど、ジェラートっていうかたちに加工して直接販売できるようになったことで大きく進んだと思う。
進 竜大から「兄ちゃん、そろそろ牛乳もやったほうがいいんじゃないか」って言われて、「じゃ、チーズか?」と考えていたときに軽井沢から出店の誘いがあって、ジェラートに進んでいったんだよね。
永井忠(以下忠) 次々にどんどん新しいことやるだもの。俺とすりゃ、法人化してもずっと休まらないわなぁ。
小 確かにペースは早いかも(笑)
進 僕が就農したころ、「やるときは思い切ってやったほうがいい。◯歳になったらやるなんて言ってる奴はいつまでたってもやらないから」って親父に言われた記憶があるんだけど?
忠 いや、反対はしてないけども、創業者としては、自分が生きてるうちは潰したくないからさ。法人化する前から計算すれば55年も走りっぱなしだから、疲れたって感じはするよ(笑)



進 まあね...。親父にとって印象的なことっていうと天皇杯の受賞?
忠 うーん、それを貰うためにやってきたわけじゃないからなぁ。
進 いやいや、大きなご褒美だよ。欲しがって貰えるもんじゃないから。
忠 そりゃそうだ。まぁ、やりたいことはまだいっぱいあるけど、全部はやれないってわかるようになってきたな、近頃は。農業は時間がかかるから、結果を自分で見られない年になっちゃったからさ。
進 でも、50年以上やってきて、ある程度のかたちにはなってるでしょ。そんな幸せな人、なかなかいないと思うけど。
忠 そうは思うけど、死ぬときに会社が傾いてたら不幸だからさ。(笑)
小 そんな心配はいらないよ。(笑)まぁ、いつまでも心配なのもわかるけど。でも、会長はずっと挑戦し続けて来た人でまだ守りに入ってなくて、おまけに社長がイケイケだからな。まったく名前のとおり生きてるよね、いい名前つけてもらったよ。
進 名前のことは親父に言って欲しい(笑)
忠 子どものときに近所から言われたもの、「そんな名前つけてどうすんだ」って。俺だっていろいろやるタイプなのに、また息子がそういう名前でさ。
小 だから俺がいつも空気を読んでフォローしてるじゃん(笑)
進 そうだよね、ストレス溜まるんじゃない?(笑)
小 いや、それはないけど。
忠 俺たち、陰ではいろいろ社長のフォローしてるもんな。
進 いや、わかってるけど...、ありがとうございます(笑)



人を育てるって難しい

忠 20年前と比べても、農場の基本はそんなに変わってないかな。
小 6次産業化で経営面は循環するようになったよね。
忠 ただ、人の育成がなかなか...。
進 いろんな人と仕事する難しさとおもしろさって一般企業では当たり前だろうけど、昔の農家は家族じゃないスタッフに働いてもらう経験がなかったから、気苦労は多かったかも。ここ1年ぐらいでようやく慣れてきたかな。
小 昔は指示したことが伝わらなくて、自分でやったほうがいい場合もあって、農業者のなかには、そういう気苦労するぐらいなら家族でやったほうがいいって言う人もいたしね。そこから抜け出すのはなかなか大変。
忠 若い人に指導するのも難しいな、昔の人と今の人は違うもの。
進 20年で人も増えたけど、人材育成はもっとやっていかないとね。人の出入りで落ち着かない時期も経験して、ようやく自分たちもいろんなものが見えてきた感じかな。
忠 ある農場の社長が視察に来たとき「失敗したスタッフを叱ります
か?」って聞かれたことがあったけど、叱って効果があればいいけどなぁ。
小 俺はラグビーあがりでここに来たころは熱かったからいろいろ言ったけど、いろんな人がいるんだってわかって、だんだん変わってきた。雇用のことは、農業法人はどこも悩んでるね。
進 僕らは雇用された経験がないから、どう働いてもらって、どう教育したらいいかわかってなかったし。
忠 中間層がいなくてトップが一番下を怒るようになっちゃうと、年齢差もあって伝わりづらい。
小 だから俺は、経営サイドだけどスタッフの兄貴的な感じで壁をつくらないようにして、仕事はしっかりするけど、時にはおちゃらけて...。
進 竜大は大きな会社で勤めた経験もあるし、そういう面では助かってる。
忠 体のわりに繊細だしな。こう見えて数字に強いし。書類なんてほどほどでいいって言うと、それはダメだって言われるもんな。
進 竜大の書類はどこから見ても隙がないよね。
小 スイッチが入るとね、きっちり仕上げるタイプなんだよ(笑)

「2×3=6」じゃない

小 うちの商品を発信する場所が欲しいと思っていたから、新しい店をオープンできて良かったよね。父さんなんて仕事終わりに毎日行ってるじゃん。
忠 野菜を少し置いてるから、その残り具合を見たり、1日無事に終わったか確認に行ってるだけだ。
小 俺はたまにソフトクリーム食べに行くぐらい。
忠 俺だって毎日は行ってないよ。
小 オープン当初は毎日行ってたでしょ。
忠 それはお世話になってる人たちが来てくれるから挨拶しにな。でも、知り合いだけに対応してると、ほかのお客さんがいい気持ちしないと思ってやめたんだ。
進 そういうとこ、意外に気をつかうよね。
忠 そりゃそうさ。常に相手の立場に立て、相手を傷つけないようにしろって、親父から言われたもんだ。
小 親子揃って人当たりがいいよね、俺はそういうタイプじゃないからよくわかる。
忠 新しい店はいろんな意味でみんな興味津々だから、ちゃんとしないとな。6次産業化って言いながら、利益だけ求める2次×3次になっちゃってるのが多いけど、1次をおろそかにした掛け算じゃだめ。1次+2次+3次じゃないと。
小 2次×3次じゃ、農業の意味がないもんね。
進 ここ10年ぐらい6次産業化に予算のウエイトを置いてきたけど、次は生産の基盤づくりだと思う。繁忙期
の生産スタッフの肉体的な負担を軽減できるような仕組みを、6次化の利益でつくっていかないと。10年後も規模的にはそんなに大きく変わらないと思うから、質を向上させて、ここで働いて良かったってスタッフに思ってもらえるようにしなきゃいけない。
忠 現場はなにしろ人だよな。今くらい労働力が貴重な時代に、人にしかできない仕事だから。
進 みんながやりがいを感じられるようにしたいよね。僕自身はやりたいことやってきたけど、10年ごとに次に進むというか10年ぐらいがムズムズする周期なんだよね(笑)。65歳まで働くとして、あと2回ぐらいか...。
小 まわりは戦々恐々としてるんだよ(笑)。またなにか言い出すかもしれないって。
忠 まあな、こういう2代目は日本中あちこちにいるんだ(笑)
進 ...あるんだよね、次にやりたいこと。
小 やっぱり!? そうだと思ってた。なんかわかっちゃうんだよ俺(笑)
進 だって閃いちゃったんだよ。
忠 まあ、なにやってもいいや、俺が生きてるうちに潰れなきゃ(笑)
小 そうだな、借金つくっても全体の収支のバランスだけは崩さないようにさ。
進 どっちが社長かわかんないね。ありがたいです!



創業者のDNAをどう受け継ぐ?

進 そろそろ、バトンをどうしていくかも考えないと。きちんとつないでいくには最低でも10年はかかるだろうから、65歳までやるとして、それまでに次の経営者のための準備や整備もね。僕が会長になったら、会長は相談役?
忠 10年後なら俺は天国かな(笑)。いま73歳で、平均寿命が80ちょっとだから。
進 まだ若いじゃん、元気だし。
忠 働き過ぎたから疲れたわ。まあ、20年先はともかく、10年先はきちんと見たいな。
小 親父の存在がでかいから、いなくなって初めて本当の経営者になるんじゃないかって気はするけどね。
忠 親がいなくならなきゃ本気にならないもんだ。なんだかんだ甘えちゃうから。
小 ここに入ったときからずっと親父の背中を見てやってきたからなぁ。
忠 農業は人間にとって一番大事な食料をつくるやりがいのある仕事だっていうプライドがあって、だからどんなに大変でもやってこられた。それは10年後も20年後も変わっちゃいけないと思うよ。
進 産業としてどう自立するかってことはずっと持っているテーマだから、10年とか20年後にうちの農場らしく達成していたいね。
小 会長の意志をちゃんと受け継いで、守っていくことが俺の役目だな。
進 僕らはつくるところから届けるところまでが農業だと思っていて、いろんな人とつながっていくかたちの農業もあるんだってことを自分たちなりに表現していきたいし、もっとわかってもらえたらいいなと思う。なにをするにしろ一歩を踏み出さないと始まらないから、これからもがんばっていきましょう。

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